答案構成:10分
答案作成:55分
令和元年の民法では典型論点と法定地上権というマイナー論点が両方出題されました。
法定地上権については準備していた受験生は少なく、法定地上権について記載していないのにも関わらず、A答案になったり、記載しているものでも、その記載は条文を機械的に当てはめたものにとどまっていました。
やはり予備試験はあくまで相対評価であることをつくづくと思わされます。
設問1
・「第三者」の定義
・(94条2項類推適用)
第三者の論点については超基礎論点であり、これを落とすことは許されないでしょう。
辰巳の参考答案には94条2項類推適用の指摘がありましたが、さすがに必要ないでしょ
う。確かにB名義の登記という虚偽の外観に対する外観が存在することはしますが、C
がこれの手助けをしたという事情さえも存在しない以上、94条2項の類推適用における3
要件を充たすことは難しいからです。もちろん書くことは間違えではありませんが、か
くとしても紙面の都合上、少なくとも大展開をすることは避けるべきだと思います。
法定地上権については要件のあてはめをするのみで他の受験生に差をつけることが可
能であったと思われます。もっとも、借地借家法10条の類推適用の解釈を取った受験生
もA評価を獲得している事から、あくまで、三段論法を徹底する事、事実の評価という
点が多くを占めていることがうかがえます。
設問2
・時効取得
・時効完成前との第三者との関係での登記具備の必要性の有無
・所有権の時効取得が抵当権消滅の効果をもたらすか。
・自己物の時効取得
まず、そもそもこの問題が時効の問題であると気づくことが出来なかった受験生も相
当数存在したようです。そのような答案は設問1が満点近くできていたとしてもC評価
にとどまったようです。
所有権の時効取得が抵当権消滅の効果をもたらすか否かの判例については百選掲載の
重要判例ですが、これは非両立関係を前提としている事から賃借権&抵当権のような両
立可能な場合には判例の射程が及ばないことには注意が必要です。なお、この論点につ
いては予備試験に出題歴がなく、近時での出題が予想されます。
また、登記具備の要否については、時効完成前の第三者は「第三者」に当たらないこ
とから登記を要さないと解するのが妥当なようです。
以上です!次は刑法平成30年です。頑張りましょう!